障害者の権利に関する条約の締結について(声名)
2013 年12 月4 日、国連の障害者の権利に関する条約が国会において承認され、わが国
としてこれを批准したことを本会として率直に評価し、これを歓迎します。
同条約についてわが国は、2007 年9 月28 日の署名以後、署名国という立場で権利条約
の実施に努めて参りました。批准の前に、本会としても条約に沿って国内の障害者施策を
改革する方向で取り組み、障害者基本法や障害者自立支援法の改正、障害者虐待防止法や
障害者総合支援法、障害者差別解消法の成立、公職選挙法の改正による成年後見制度の被
後見人の選挙権回復など、一定の成果を見るに至りました。国内法制の改革が進んだ結果
として同条約を批准できたことを、本会としても喜ばしく思うところです。
本会は国際的なネットワークにおいて国際育成会連盟のアジア太平洋理事国の立場にあ
りますが、同じくアジア太平洋のニュージーランドのロバート・マーティンさんという知
的障害者である理事が、国連の特別委員会では積極的に発言をしてくださいました。国際
育成会連盟の代表として知的障害のある方が発言され、条約交渉にも大きな貢献をされた
ことを私たちも誇りに思います。また、こうした国際的なネットワークの一員として、国
際活動委員会の長瀬修委員長を中心として国内外において同条約の実施に努めていること
も本会として自負するところです。
一方、このたびのわが国における同条約批准は、「ゴール」ではないと考えます。今後、
同条約の発効後2年以内に実施状況に関する報告書を提出し、国連の障害者の権利委員会
から審査を受けます。国際的な指摘に応えていくことは、一面においては困難を伴います
が、わが国の障害福祉施策の前進にとって大きな意味をもつものと期待しています。
あわせて、わが国は同条約の批准国として同条約の国際的な実施の一翼を担うべきであ
り、国際社会においても一定の責任を果たす必要があると考えます。
障害者の権利をまもり、社会の中でそれぞれが望む生活を実現していくことについて、
同条約の批准により、わが国は国内外においてこれまで以上の責任を負うことになると考
えます。その意味において同条約の批准は、わが国にとって一つの「スタート」となりま
す。そのことを肝に銘じつつ、本会としては、政府や議会、あるいは関係団体などとも協
力しながら、そして市民の皆様のお力添えもいただきながら、障害者施策のより一層の進
展に取り組んで参る所存です。
最後になりましたが、同条約の批准に向けてご尽力いただいたすべての関係者の皆様に、
心より感謝申し上げます。
2013 年12 月9 日
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
理事長 久保 厚子
国連障害者の権利条約 - 障害保健福祉研究情報システム
www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html
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